多種多色な“残糸”を利用したアップサイクルブランド「SAYUU」誕生
兵庫県には、清らかな水と自然が生み出す繊維産業「播州織物」と「加古川靴下」があります。
北播磨、西脇市を中心に広がる「播州織物」、東播磨の加古川市に広がる「加古川靴下」、2つの産業は同じ川の恵みを受けてきました。
織物工場では、日々どうしても残ってしまう様々な糸が存在します。
廃棄するにはもったいないほど品質も色も素敵な“残糸”は新たに生まれ変わる可能性を秘めていました。
その希少な糸を再利用する為、西脇市で一貫生産を誇る織物工場「東播染工」と加古川市の創業100年を超える靴下メーカー「田中繊維」の協業がはじまりました。
少量ながらも素材を活かした靴下を目指し、お互いの産地を行き来しながら進めていきました。
糸の形状によって難しい種類もあり、試行錯誤を繰り返し、糸の特徴を活かすデザインと履き心地を追求しました。
第一弾は、5種の靴下が誕生。
糸の質感が気持ちよい「ブークレ」糸は、綿の糸がくるくるとループ状につくられたユニークな糸なのでさらりとした履き心地を実現。そのままの生成(きなり)の色合いが何にでも合わせやすいです。
天然色の「オーガニックコットン」の糸は色を活かしたブロック柄に。
原料のオーガニックコットンはそのままの色の生成(きなり)と、ブラウンとグリーンがあります。コットンと聞くと、「白」がスタンダードとして思い浮かべる方が多いですが、コットンの原種は「茶綿」です。
生物学者のサリー・フォックスさんが研究を重ねたカラードコットン(天然色)は、ニューメキシコの大地で大切に育まれ、大正紡績さんの古い紡績機でゆっくり紡がれています。
夏は涼しく冬は暖かい「シルクノイル」の染糸を3色ミックスしました。
シルクノイルとは、繭(まゆ)から生糸(長繊維)をとった残りを紡いで糸にしたものです。 通常イメージされる光沢のある糸とは違い、独特の凸凹感のある糸です。空気の含有量が多く保温性が有り、吸湿性・放湿性にも優れています。
上記3種類を含む計5種類の靴下の販売に向けて準備しています。
「SAYUU」が沢山の人に愛されるブランドに育っていくことで、繊維産業の問題解決に繋がることを願っています。